理解してますか?運動不足がもたらす悪影響
はじめに
現在の生活スタイルで運動不足ではないのか気になっている方や、明らかに運動していない方は多いのではないでしょうか?
また、自分は運動していると思っていても意外と運動できてないことは多くあります。
では、運動不足とはどこまでの範囲?と思う方もいるのではないでしょうか。
運動不足についての明確な基準があるわけではありませんが、厚生労働省は「運動習慣のある者」を「1日30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者」と定義付けています。
この基準を満たしていない方は運動習慣がない、つまり運動不足の状態にあるといえるかもしれませんね。
このグラフを見ると特に20代、30代の運動不足が目立ちます。
体に不調が出てから慌てて行ってももう遅いです。
まだ体力がある20代、30代のうちに運動しましょう!
運動不足がもたらす身体の影響
「運動不足は体に悪いというイメージだけど、具体的にどんな影響があるのかな?」
実際に運動不足がもたらす影響について、気になる方も多いのではないでしょうか。
1.体力、筋力の低下
筋力の低下が進むと、立つ、歩くといった日常的な動作にも支障が生じるようになり、仕事や家事にも影響が出かねません。
2.肥満
運動不足だと消費カロリーが少なくなるため、肥満に陥りやすくなります。
食事などから摂取したカロリーが消費カロリーを上回る状態が続くと、体脂肪が蓄積され肥満につながります。
運動不足では消費カロリーが少なくなりがちなため、たとえ摂取カロリーがあまり多くなくとも肥満になりやすい状態にあるといえるでしょう。
また運動不足で筋力が低下すると、基礎代謝が低下してカロリーが蓄積されやすくなり、肥満のリスクが増大します。
3.動脈硬化性疾病
ひとつひとつは軽度であっても要因が重なるほど動脈硬化は進行し、それによる心臓病や脳卒中のリスクが高まることが分かっています。
そのため、より深刻な病気になってしまう前に、内臓脂肪の蓄積やメタボリックシンドロームを改善することが重要だと考えられるのです。
肥満はもちろん糖尿病や高血圧、脂質異常症も運動によって改善が可能です。
こうした状態にある方は運動習慣をつけることが重要だといえるでしょう。
4.膝や腰などの痛み
運動不足は膝や腰などの痛みにもつながります。
痛みの原因は筋力の低下や、関節の可動域が狭くなること、筋肉が緊張してこわばることなどです。
膝を支える筋肉が衰えると、体重をうまく支えられなくなって膝関節の内側に負担が集中してしまいます。
これにより軟骨がすり減って、膝に痛みや炎症が生じます。
また背骨を支える筋肉が衰えると背骨や腰椎への負担が増え、筋肉が凝り固まって血流が滞ることで腰痛が発生しやすくなります。
運動不足によって体重が増えてしまった場合には、膝や腰にさらなる負担がかかることになります。
5.便秘
運動不足によって腹筋が衰えると、便を押し出す力が弱くなってぜん動運動に支障が生じ、便秘になりやすくなります。
また運動自体に腸全体に刺激を与えて動きを活性化するはたらきがあるため、運動不足だと便秘になりやすい状態が重なってしまうことになります。
便秘の原因は運動不足だけではありませんが、運動と便通は密接に関わり合っているため、運動の機会の少ない方は注意が必要です。
6.骨粗鬆症
運動によって骨に負荷をかけない状況が続いていると、骨の材料となるカルシウムの利用効率が悪くなり、骨粗しょう症に陥りやすくなります。
運動不足が続くことで丈夫な骨がつくられなくなり、骨粗しょう症になる危険性が高まるのですね。
なお、骨粗しょう症はカルシウムやマグネシウムなどのミネラル不足やビタミンバランスの偏り、高齢女性の閉経に伴う女性ホルモン減少などによっても起こります。
7.がん
運動不足だと、日本人の死因の第1位でもあるがんのリスクも高まります。
国立がん研究センターの研究では、性別を問わず身体活動量が多い人ほどがんになるリスクが低くなることが示されました。
部位別で見ると、身体活動量が多い男性は少ない男性よりも最大で結腸がんが0.57倍、肝がんが0.62倍、膵がんが0.55倍まで、女性でも胃がんが0.63倍までリスクが下がっています。
つまり、運動不足の人はしっかり運動している人に比べると、がんのリスクが最大で2倍近く高いということになります。
8.うつ病
運動不足は気分が落ち込んだり憂うつになったりする抑うつ状態や、うつ病の発症に関係しているケースもあるといわれています。
国際的な大規模研究「HUNT研究」の一環として行われた運動とうつ病に関する研究では、普段全く運動をしない人は、週に1~2時間運動する人よりもうつ病の発症のリスクが44%も高いことが示されています。
おすすめの運動
1.筋力トレーニング
筋トレはレジスタンス運動とも呼ばれる無酸素運動の一種です。
筋トレでは、短時間に特定の筋肉に強い抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返すことで筋力を向上させます。
トレーニング方法によって鍛えられる筋肉が違うため、目的に合わせて内容を調整しましょう。
また、筋トレは筋肉を増強するだけでなく、基礎代謝を高め日常生活で消費されるカロリーを増やしたり脂肪を燃えやすくしたりする効果も持っています。
2.有酸素運動
有酸素運動は酸素を用いて体内の糖質や脂質をエネルギーとして消費する筋肉への負荷が比較的軽めの運動で、長時間続けやすいことが特徴です。
有酸素運動は体内の脂質を燃焼させるため、体脂肪の減少、それによる体重の減少効果も期待できます。
また内臓脂肪を減少させられるため、生活習慣病の予防や改善にも効果があります。
これに加え、有酸素運動はスタミナや粘り強さを意味する心肺持久力も高めます。
運動する際の注意点
1.運動前には必ずストレッチをしましょう
運動の前後にしっかりストレッチを行う習慣を付けましょう。
ストレッチは筋肉や関節の柔軟性を高め、けがの予防や疲労回復の助けとなるため、運動前のウォーミングアップ(準備運動)、運動後のクーリングダウン(整理運動)として行うことが勧められます。
ストレッチは、ダイナミックストレッチ(動的ストレッチ)とスタティックストレッチ(静的ストレッチ)の大きく2種類に分けることができます。
2.無理のないペースで行う
運動不足を解消するためには、継続的に運動をしていくことが重要です。
体力やスケジュール的に無理のある運動はモチベーションの維持が難しいため、自分にとって適切なペースがどれくらいかを考えるようにしましょう。
また体に強い負担をかけ続けていると、けがや事故、体調不良のリスクが高まります。
運動ができない状態になってしまうと、運動不足解消という目的も達成できなくなってしまいます。
運動の適切なペースは体力や健康状態、年齢などによって大きく変わるため、単純に決めることはできません。
最初は無理をせずに少しずつペースを上げながら、体力やスケジュールを圧迫せず、日常の習慣として安全に継続できるペースを見つけることが重要といえるでしょう。
まとめ
運動不足は筋力や体力の低下に加え、がんや心臓病、脳卒中をはじめとした生活習慣病やメンタル面の不調など、心身に多くの悪影響を及ぼします。
運動不足を解消するにはウォーキングやジョギングのような有酸素運動と、自重トレーニングやダンベルなどの器具を用いた筋トレを日常生活に組み込み、継続してゆくことが重要です。
運動をより効果的に行うためには、運動の順番や頻度を気にするだけでなく、日々の食生活のバランスも見直してみましょう。
また早く運動不足を解消しようといきなり激しい運動を行ってしまうと、けがや体調不良を引き起こしかねません。
自分の体力や体調、日々のスケジュールなどに合わせて無理なく運動を続けることで、安全に運動不足を解消していきましょう。